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子曰く、故きを温ねて、新しきを知れば、以って師と為るべし

cat 土器, 徒然, 日常, 未分類, 測量・計測, 考古学, 調査技術 — あかねだ @ 2:05 AM

今いる研究室が発足したのは3年前。その時からしたかった作業をいよいよ開始。
相変わらずバタバタだけれども、これをしなければ先は見えてこない。

それは・・・。

旧測量研究室の図化室の掃除。
あいつが掃除を・・・と多くの方が思われたのと同様、天気までこの珍事に大荒れ。

土器研究の先輩B4御夫妻の後輩さんの派遣をN先生にお願いして、とにかく開始。皆働き者で助かります。


ここが入り口。「図化室」と言っても、今の研究所の多くの方は知らないようで、「それ何処?」と聞かれてしまう。考古の各整理室の足の下です(笑)。

私は奈良国立文化財研究所の研究の核のひとつだった部屋と思っているのですが、今は人知れず眠っています。これを再生?させよう、というのが目標。


部屋はこんなになっていました。
凄いホコリ。隣の保存科学の部屋から強力防塵マスクを拝借。
しかし、色々道具が投げ込まれてますな。崩れてるし。
一拭きで真っ黒になる雑巾に皆唖然。大体水道の水が鉄分豊富で茶色。


未だに現役の冷蔵庫。停止すると多分冷凍庫の霜でかなりやばいことになりそうなのでそのままに。しかし、水周りの横に資料置いとくのは・・・。
ちなみに、中身は「生一丁(アサヒビール)」他。関西限定ですな。最新紀年銘は1995年。
かなり熟成されたマッコリ等、色々なものも。


最新のコンピュータは多分これ。NEC9801RA51(1989年)、当時668000円。夢のパソコンですね。横にあるワークステーションは未確認だけれども、アップグレード用かSolaris7(1998年)があったからもう少し新しいのかな?但しパッケージは未開封で、もう少し遡りそう。
写真横にある板のようなものは・・・。おお、Calcomp(現Ose)のDrawingBoardIIIじゃないですか!私が入所した96年頃、これで地形図や古墳のデータをGISに入力したものです。ここにもあったのか・・・。


これは・・・いつのものでしょう?


CarlZeiss製Stereometrograph(1966?)。文化財関係者なら誰もが目にした図面はこの機械から生み出されたのだなあ、と思うと感慨無量。
少し前にこの機械の解体、という話があって、予算面で確か流れたことがありましたが、よくぞ残っていてくれました。凄い存在感。


Leica AC-1(1980)。アナログ解析図化機の名機。いやあ、いい作りしています。

はい、ここで、ちょっとこの作業についての想いを。

国土地理院や測量関係の方は、最近でも奈文研の写真測量についてよくご存知だったり、雑誌に取り上げて頂いています。が、文化財の世界では残念ながら忘れ去られた存在のようです。
別にそれだけなら、過去の組織の研究史、というだけなのかもしれませんが、文化財の測量や計測を何故文化財の研究者がしなくてはならないのか、という基本的な問いを忘れている気がして仕方ありません。
「精確」な図面が必要なだけだったらそれは計測のプロに任せればいいと思うのだけれど。
測量は資格がある訳だし。いくばくかの予算を投入して目的もなく中途半端にするものではないと思うのですが。
なんでわざわざ遺跡や遺物の測量や計測を考古学研究者がするんでしょう?それでいいのかなあ。

フィールドワークにおいて何が大切か、忘れている気がします。遺跡に立って今の時代のバイアスがかかった妄想や感覚を物知り顔で話すことが仕事ではない筈。少なくとも、発掘で大切な記録、には文化財の研究者が判断したものであって欲しい。てか、それを放棄したら、何であんたらいなきゃいけないの?と思うのです。勿論、情報を取捨選択し、きちんとプロに伝え、お願いすることは可能でしょう。しかし、それを本来必要な場面で適用できるのは一握りの裕福な調査でしかありません。

と書くのは、色々な方から御批判を頂戴するからなんですよね。

デジタル写真計測、というとどうやら最近の最新技術のように感じられるみたいで、「新しいものに飛びつきやがって」という意見が方々から。
しかし、デジタルになり、汎用のデジタルカメラと一般的なコンピュータを使用することで簡易に写真計測ができるようになっても、これらの技術の基本原理は戦前からほとんど変わっていない筈です(私がまだよくわかっていないところも多いのですが)。
今の変化は昔からあった高嶺の花が誰にでも使える手段になりつつあるだけなのですよ。能率的に、必要な情報を記録する手段が手を伸ばせば届きそうなのに、と思うわけです。
その意味で、まだ高価なもうひとつの三次元計測手段-レーザスキャナとは違うわけです。ただ、勘違いされているようですが、私はどちらの方がいい、ということは言っていません。ただ、使っていくと、向いているところと向いていないところがあることはわかってきます。

「技術を誇りたいのか」とかいわれると、怒りを通り越して笑うしかない。枯れた技術でそんなこたあできません。ファーストクラスの最新鋭ジェットに乗って合衆国にいって新大陸を発見した、と主張するようなものです。流石に面の皮の厚い私でもそれは無理。そうではなくて、日本全国の先達が続けてきた研究が今直面している問題の解決法になるのであれば、それを受け継いで模索したいだけ。
歴史に関連する学術分野の筈なのに、研究史をはじめ基礎的な事実を押さえずにそういう発言が方々から飛び出す現状を何とか変えたい、と思います。

日本測量協会の『測量』という雑誌で取り上げられたドキュメントに、文化財への写真計測技術応用の草わけでもある坪井先生のエピソードが書かれていますが(興味のある方は読んでみてくださいね)、40年経ってなお、同じことが起きているのが恥ずかしい。

機能を停止して長いこれらの機械をもう一度使うのは難しいでしょうし、その時代でもありません。でも、既に文化財と呼べそうなこれらの機械をきちんと保存、できれば公開することで、文化財の記録とは何か、を考える糸口になって欲しいし、このスペースから再び少しでも役立つ情報を生み出せることを目標にしたいと思います。しかし、これらの機能が普通のコンピュータにはいりつつある今は凄い。

こんなことを考えるのも、年を喰ったのと、かつてこれらの研究をリードされた故伊東大作室長と研究室で話をした最後の世代だったからかもしれません。やはり、視点が明確であり、今も色あせない問題意識はきちんと受け継がないと。かつては技術が追いつかなかったかもしれませんが、今それができるのであれば・・・。繰り返される新大陸の発見はもういいでしょ?

ということで、何かしたい学生さん、アルバイト募集中です(笑)。


はい、HAL9000です。素晴らしい何か、がおきるまで後2年ですが(せんと君じゃないよ)、ここで寝ています。そういや、ソ連はなくなってしまいましたが、どうするんでしょうか・・・データゼネラル社Eclipse(1974)。昔のコンピュータって、やはりこういう形なんだ。

次の掃除は再来週。

4 件のコメント »

  1. ちょっと凄すぎです!話には聞いていましたが,さすが奈文研!指定文化財級ですね。当時の奈文研の方々が,このような世界でもトップクラスの写真測量解析機を導入して,文化財の測量・計測の技術を追求してくれたおかげで,現在の世界に誇れる日本の記録保存技術があると思います。是非あとで見学させてください。

    コメント by M — 2008 年 6 月 2 日 @ 12:42 AM

  2. 写真測量学会の名誉会員に坪井先生がなっておられたり、国土地理院の年配の方が皆さん奈良の思い出を話してくださったりするのをお聞きすると、やはりその頃は凄かったと思います。ただ、それは先達がすごかっただけで、私にとってはプレッシャーだったり。

    共同で平城京の大縮尺地形図(1/1000)を作成された東大の丸安先生も今年お亡くなりになり、どんどん記憶は薄れていくのかもしれませんね。

    私としても正直、どんな機械があるのかようわかっていません。

    こういう道具を再生して使うのは好きなのですが、流石にこれらは無理・・・。ただ、いくつかは別の用途として再利用を企んでいます。油圧シリンダーをどうするのかが問題の機械もありますが・・・。

    見学、私がいるときでしたらいつでもどうぞ。もう少し綺麗な状態でお迎えできるように、頑張っておきます。

    コメント by あかねだ — 2008 年 6 月 2 日 @ 6:17 AM

  3. このまま、博物館ですよ!
    これらの機材を題材として、論文書けるんじゃないかな。

    それにしても、魅力満載で掃除進まなそうですね。

    コメント by Ta-niiyan — 2008 年 6 月 2 日 @ 8:50 PM

  4. 是非Ta-niiyanさんも来寧の折には。プリンをご馳走できる位にしておきますので。色々話もしたいしね。

    掃除進まない・・・ギク。

    さて、正倉院伎楽面とかターク・イ・ブスターンの測量図など、関係者垂涎の資料もありそうですし、森・村岡両先生の貴重な文献資料もあります。ということで、部屋の一部を資料室的なものにして、残りを現在飽和といいますか、圧縮陳列状態にある現研究室から測量・計測関連の機材・資料を移動したいと企み中。

    ・・・ただ、研究員2人+客員研2人しかいないんだよね(涙)。

    コメント by あかねだ — 2008 年 6 月 2 日 @ 9:31 PM

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